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弁護士への質問 見つかりました 31
建築請負契約で決めた工期を大幅に超過した場合、施主は施工業者に対し遅延損害金を請求することがあります。しかし台風や豪雪など、工期延長が不可避な不可抗力要素がある場合、その期間をどう扱うかが議論のポイントです。通常、契約書や民間建設工事標準請負契約約款などでは、天候不順や地震などの不可抗力による遅延は工期の延長事由に含まれ、遅延損害金を請求できないケースが一般的です。一方、施工業者の人員手配ミスや資材発注の遅れなど明らかに施工者側の過失がある場合は、遅延損害金が発生します。金額の算定は工事額や遅延期間によって異なりますが、1日あたり請負代金の一定割合とすることが多いです。契約時点で約定しておかないと、実際にトラブルが起きた際に揉める可能性が高まります。
インターネットやセミナーなどで紹介された地方のアパート物件を、現地を見ることなく契約してしまうケースがあります。宅建業法上、重要事項説明は受けたとしても、現地環境や実際の建物状態を把握しないまま購入すると、後から修繕費や空室リスクを甘く見積もっていたことに気づき、想定外の赤字を抱える例が多いです。法的には現地調査義務が買主に強制されているわけではありませんが、売主や仲介業者が説明不足で物件情報の一部を隠していた場合、契約不適合責任を追及できる可能性もあります。とはいえ、裁判で勝つまで時間とコストがかかり、実損を回収するのは容易ではありません。投資物件であっても購入前に極力自分で現地視察し、周辺の賃貸需要やインフラ状態、空室率などを確かめるのがセオリーです。
大規模な再開発プロジェクトで区画整理(市街地再開発ではなく土地区画整理事業)が実施される場合、従来の土地が換地処分により新たな区画として割り当てられ、登記も変更されます。地主は従前の土地と全く異なる位置や形状の区画に移る可能性もありますが、その場合に地価や面積の増減があれば金銭精算(清算金)が発生します。これによって街並みが計画的に整備される一方、土地所有者は仮換地期間に自由な建築ができなかったり、負担金を課されるリスクがあります。また手続きが長期化しやすく、プロジェクト全体で合意形成を図る段階で反対意見が出ると工期が大幅に延びる例も少なくありません。最終的に換地処分公告が出た後、登記が確定し新たな街区として生まれ変わりますが、個人の資産活用計画が大きく影響される点が注意です。
親族の不動産売買を仲介して手数料をもらう際、「宅地建物取引士の資格がないと違法になる」と聞きます。実際にどんな場合に宅建業免許が必要で、無資格・無免許営業はどのような罰則があるのでしょうか?
不動産売買の際、売主や買主が価格交渉の根拠を得るために不動産鑑定士の鑑定評価を依頼する場合があります。ところが、鑑定評価額と実際の売買交渉で成立する価格が大きく乖離することもあるようです。一般に不動産鑑定士は公的な鑑定評価基準に基づいて客観的手法(取引事例比較法、原価法、収益還元法など)を組み合わせた結果を示しますが、最終的な実勢価格には需給バランスや買主の特殊事情など、定量化しにくい要素が強く反映されます。また、収益性や将来的な再開発のポテンシャルが大きい商業地だと、鑑定評価以上のプレミアムがつく場合もあります。結局、鑑定評価は売買価格の目安としては有用でも、実勢価格を保証するわけではなく、あくまで市場における一つの参考指標として扱われるべきです。
転勤などで自宅を賃貸に出していたが、事情が変わってその家を売ることにしたい場合、まだ賃貸借契約が残っているときに買主はどう扱うのでしょうか? 賃貸借を途中で終了させることはできるのでしょうか?
マンションの管理規約でペット飼育を禁止、あるいは大きさや種類に制限を設けているにもかかわらず、違反して大型犬を飼育している住戸がある場合、管理組合はどのような対処を行えるでしょうか? 区分所有法上、共同の利益に反する行為を繰り返しやめない所有者に対しては、専有部分の競売請求や使用禁止を認める規定がありますが、裁判所が強制退去を認めるハードルは高いのが実情です。通常は管理組合からの警告やペットの譲渡・退去指示など段階的に勧告し、それでも改善されなければ法的措置に移るという流れになります。ペット飼育トラブルは騒音や排泄物の問題だけでなく、アレルギーを持つ住民が健康被害を訴える場合もあり深刻化しがちです。管理組合は規約と使用細則を明確化し、違反があった際の処分手順をきちんと整備しておくことが大切です。
自宅やビルを建てる際、建築家(設計事務所)に設計を依頼し、施工は別の工務店に発注する「分離発注方式」を採用する人もいます。メリットとしては施工コストを透明化しやすく、設計者が施工者を監理して質を担保しやすいですが、一方で注文主が設計事務所との設計契約と工務店との請負契約を別々に締結しなければならず、トラブル対応も複雑化します。設計・監理契約の範囲にどこまで現場監理を含むのか、追加工事や変更が発生した際に工務店が要求する費用を誰がチェックするのかなど、曖昧にすると責任分担が不明確になりがちです。デザインを重視しすぎて施工予算が足りなくなるケースや、工期遅延の原因が設計ミスか施工不備かで揉めることもあります。契約管理をしっかり行うには、設計事務所との契約書、工務店との請負契約書、監理報告や追加見積の承認プロセスを明確化することが肝要です。
金融機関の住宅ローンが難しい人が、親戚や知人から資金を借りて物件を購入する“個人間融資”が行われる場合があります。法的には問題ないかもしれませんが、金銭消費貸借契約が曖昧だとトラブルが起こりやすいです。例えば利息や返済期間、担保設定などを口頭の約束だけで済ませると、後から「払わない」「そんな約束はしていない」などと言い合いになる可能性があります。また、契約書を作成しないと贈与とみなされ課税リスクが生じる場合もあります。加えて、抵当権を設定する場合には不動産登記が必要ですが、個人間のやり取りだと手続きが不完全になりがちです。こうした点を理解せず利用すると、後で争いに発展しかねません。
新築マンションを購入して引き渡し後、床や壁の遮音性能が弱くて上階や隣接住戸の生活音が気になるとの苦情をよく聞きます。この場合、買主はデベロッパー(売主)や施工業者に直接訴えるべきなのか、あるいは管理組合を通じて対応を依頼するべきなのか迷うケースが多いです。そもそも床スラブ厚や二重床構造のスペックはパンフレットで示されていても、実際の生活音には個人差があるためトラブル化しやすい領域です。販売側が構造上の欠陥と認めていないなら契約不適合責任の対象にならない可能性もあり、一方、管理組合としても共用部分に問題がない限り対応しづらい場合があります。結果的に苦情を受けたデベロッパーがアフターサービスの一環として床下に遮音材を追加したり、一部補修を提案することもあるため、まずは販売時の仕様説明書や契約書の記載を確認するのが重要です。