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弁護士への質問 見つかりました 48
以前は賃金請求権の時効は2年とされていましたが、労基法改正により賃金債権の時効は3年に延長され、さらに今後5年への延長も検討されています(ただし当面は3年間)。つまり、残業代の未払い分については、過去3年分にさかのぼって請求可能であり、これを超えると時効により権利が消滅してしまう可能性があります。また、会社が悪意で未払いを続けていたときは、別途遅延損害金や付加金の支払いが課される場合もあります。時効期間を超える前に早めに証拠を集め、会社へ請求するか、労働基準監督署や弁護士に相談することが大切です。
外国人労働者が就労可能な在留資格(ビザ)を持たずに働くのは不法就労となり、使用者も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。もし在留資格の期限が切れていたり、資格外活動許可を得ずに別の業務をしていた場合、雇用を継続するのは違法です。企業は採用時や更新時に在留カードを確認し、期限や資格内容をしっかりチェックする義務があります。本人が更新を怠っていたり書類が不備で延長申請が通らなかったりするケースもあり、気づかず雇い続けると重大な違反になります。
企業が人員整理のために「希望退職募集」を行う場合は、あくまで労働者の自由意思に基づくものでなければ違法な退職強要とみなされる恐れがあります。例えば、経営悪化を理由に会社が従業員に「辞めないと配置転換で不利になる」と圧力をかけたり、退職に応じない者をパワハラ的に追い詰める行為は不当となり、解雇権濫用法理の観点から後々労働審判や裁判で争われるリスクが高いです。希望退職制度を導入する際は、割増退職金や再就職支援など十分な経済的補償を提示し、募集期間を適切に設定し、従業員の選択を尊重することが重要とされています。
労働基準法改正で年間5日の年次有給休暇を確実に取得させる義務が使用者に課されましたが、計画的付与制度として企業が労使協定に基づき有休の一部を一斉に取得させる運用も認められています。例えば年間の特定日(お盆や年末年始の前後など)を有休取得日とし、一斉休業させることで従業員の消化を促進する手法です。ただし、労使協定で計画的付与できるのは年次有給休暇のうち5日を超える部分に限られます。つまり、最低5日は労働者が自由に取得できるように確保し、残りの有休の一部を計画的に設定する仕組みです。
労働基準法第20条では、使用者が労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか、または30日分の平均賃金を支払う義務があります。これを解雇予告手当と呼び、雇用期間が14日未満の短期契約労働者など一部例外を除いて全ての労働者に適用されます。会社が即日解雇するなら、その日に解雇予告手当の全額を渡さないと労基法違反です。解雇予告手当を支払ったとしても解雇理由の正当性がなければ解雇無効となる可能性もあるため、単に手当を払えば自由に解雇できるわけではありません。
労働基準法第20条により、会社が労働者を解雇する場合は30日前に解雇予告をするか、30日分の平均賃金相当額を支払う必要があります。もし会社から即日解雇を言われ、解雇予告手当も支給されなかった場合、それは違法解雇の可能性が極めて高いです。例外的に懲戒解雇などで『労働者の著しい背信行為』がある場合などは予告が不要と認められることもありますが、そうでなければ会社は解雇予告手当を支払わねばなりません。突然の即日解雇を受けたら、まず会社に解雇理由を文書で求め、支払いがなければ労働基準監督署や弁護士へ相談して是正を図るのが適切です。
労働契約法の改正によって、有期雇用契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者が申込をすれば期間の定めのない無期雇用契約に転換される「無期転換ルール」が導入されました。例えば1年契約を5回続けた後、6年目を迎えたタイミングで労働者から無期契約への転換申込を受けると、使用者は原則として無期契約を締結する義務が生じます。この改正は有期契約労働者の不安定な地位を改善することが目的ですが、実際の現場では契約更新の打ち切りや就業条件の見直しが起こることもあり、労使間でトラブルとなる例も増えています。
労働基準法第34条で労働時間が6時間を超えると最低45分、8時間を超えると最低1時間の休憩を与える義務があります。休憩は労働者が自由に利用できる時間で、原則として一斉に付与することが望ましいとされていますが、業務上やむを得ない場合に分割して与えることも認められています。ただし、分割によって事実上まとまった休憩が取れない状態になっていると、労働者の休息確保の趣旨を損ねるため問題となる場合があります。例えば10分休憩を6回に分割して「60分にしている」状態では、まともに休めないと判断されやすいです。
有期雇用労働者が契約更新を重ねている場合、いきなり「次回で契約終了」と告げられても、実質的な解雇として解雇権濫用法理(労働契約法第16条)や雇止め法理に抵触する可能性があります。特に長年反復更新され、実質的に無期的に雇用関係が継続していたり、労働者が更新を期待している合理的理由があるなら、会社側は雇止めの正当な理由を示さないといけません。突然の雇止めが不当と認められれば、労働審判や裁判で雇用関係の継続が認められたり、金銭解決を求められることがあります。
派遣社員は労働者派遣法に基づいて派遣元(派遣会社)の雇用契約下にある者が派遣先企業の指揮命令を受けて働く形態です。一方、請負契約の場合は受注した企業(請負事業者)が独立して業務を遂行し、指揮命令は請負企業が行います。もし名目上は請負だが、実際には派遣先企業が直接指示しているなど指揮命令が派遣先に及んでいるなら偽装請負と判断される可能性があり、労働関係法令違反として処分や使用停止のリスクがあります。偽装請負は安価な派遣労働のように使いたい企業が契約形態を偽装する悪質行為として問題視されています。