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複数企業が共同で事業を行うため、合弁会社を設立する際、出資比率や取締役の派遣人数、役員報酬の設定など細かな点を協議する必要があります。出資比率が50:50の場合は両社が対等の立場を確保しやすい一方、意思決定が膠着状態になるリスクもあります。過半数を取得する企業が主導権を持ち、もう一方は一部重要事項について拒否権を持つようなスキームも考えられます。さらに知的財産権の帰属や役員の任免、配当方針などを合弁契約書や定款で具体的に定めておかなければ、後々の紛争の火種となります。また、合弁解消の際の株式譲渡条件やライセンスの扱いも事前に取り決めておくとトラブルを避けやすいです。合弁パートナーとの協調と、自社の利害を守るバランスが重要な交渉ポイントです。

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非公開会社(いわゆる閉鎖会社)の多くは、定款に株式譲渡制限を設けています。これにより、株主が勝手に第三者へ株式を売却する際に会社や取締役会の承認を要する仕組みが成立し、経営権が外部に移転するリスクをコントロールできます。経営者同士が信頼関係を保ちながら株式を保有できるメリットがありますが、一方で株式の流動性は下がり、株主が持分を現金化したいときに自由に売買できないデメリットも存在します。創業メンバーや少数株主との関係が悪化すると、株式譲渡に関する承認で揉める可能性もあるため、事前に買い取りの条件や譲渡方法を協議しておくことが重要となります。なお、株式譲渡制限の内容を定款に記載し、商業登記にも反映させる必要があります。

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会社内部の紛争や株主との対立が激化し、特定の取締役に対して「職務執行停止仮処分」を申し立てる事例があります。これは裁判所が仮処分決定を下すことで、その取締役が職務を行うことを一時的に禁止し、会社に大きな混乱が生じるのを防ぐ目的があります。例えば背任行為や横領の疑いがある取締役を排除したい場合などに使われますが、実際には裁判所が職務執行停止を認めるハードルはそれなりに高く、十分な疎明資料が必要です。一旦仮処分決定が出ると、対象取締役は株主総会や取締役会での議決権・発言権が制限され、会社の意思決定に大きな影響があります。ビジネスパートナーや従業員からの信用不安も誘発しやすいため、慎重に対応することが求められます。

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会社が一部事業を切り離したい場合、代表的な手法として「会社分割」と「事業譲渡」が考えられます。会社分割は会社法上の組織再編行為の一種で、分割会社の権利義務(資産・負債・契約)を包括的に承継することが可能です。一方、事業譲渡は個別の資産や契約を移転する形になるため、移転対象ごとの契約を作成・手続きを行う必要があります。そのため、包括的に権利関係を移転できる会社分割は効率的ですが、一定の株主総会特別決議や債権者保護手続きなど組織再編に伴う厳格な要件があります。事業譲渡は比較的自由に対象範囲を設定できますが、個別の引き渡しや契約同意を要する点が手間になることもあるでしょう。目的や規模に応じてどちらを選択するかが重要な経営戦略の一環と言えます。

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上場企業などで、株主がインターネット経由で議決権を行使できる「電子行使プラットフォーム」を導入するケースが増加しています。これにより海外在住株主や機関投資家がタイムリーに議決権行使を行えるメリットがあり、紙ベースの投票用紙回収に比べて処理ミスや郵送期間の短縮が期待できます。一方、企業側はプラットフォームの利用料やシステム対応が発生し、株主向けの説明も必要です。特に多くの個人株主が電子行使に不慣れな場合は、利用率が低くなる可能性もあるため、並行して従来の郵送方式を残す企業も多いです。また、株主側では電子投票が可能になることで議決権行使の最終締切までにより多くの情報を収集できるメリットがある一方、セキュリティや本人認証の面で課題が指摘されることもあります。

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中小企業が事業継続を断念し、清算による廃業を決めた場合、株主や金融機関、取引先などステークホルダーへの対応がスムーズに進むよう計画的な手順を踏むことが大切です。まずは役員や主要株主間で十分に協議し、解散と清算の方針を固めます。株主総会で解散を決議し、清算人を選任して法務局で解散登記を行い、官報公告を出して債権者保護手続きを実施する流れとなります。残った資産を換価して債務を返済し、残余財産があれば株主に分配する仕組みですが、在庫の処分や固定資産売却、取引先への通知など実務面でやるべきことは多岐にわたります。債権者への弁済が足りない場合や隠れた負債が見つかる場合もあり、清算期間中にトラブルが発生しやすいため、専門家と連携して慎重に進めるのが望ましいです。

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スタートアップやベンチャー企業が優秀な人材の採用・定着を図るためにストックオプションを導入するケースが増えています。ストックオプションとは、従業員が将来特定の条件下で自社株を一定価格で購入できる権利で、会社法上の新株予約権に該当します。付与するには株主総会の特別決議や取締役会決議(非公開会社の場合など)で詳細を定める必要があり、発行数や行使価格、行使期間、対象者、譲渡制限の有無などを明確に決議します。従業員にとっては、会社の成長に伴い株価が上昇すれば大きなキャピタルゲインを得られる魅力がある一方、会社が伸び悩めば価値が生じないリスクも伴います。企業としては、人件費を抑えつつモチベーション向上を期待できるメリットがあるものの、既存株主の持分希釈が問題となる場合や、行使条件を厳密に管理しないと混乱する可能性があるため、運用ルールの設計が重要となります。

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企業法の分野で、独占禁止法は公正取引委員会による市場競争の維持を目的としています。主な規制対象として、カルテルや入札談合などの不当な取引制限(いわゆる「私的独占」「不当な取引制限」)に加え、優越的地位の濫用や再販売価格拘束、抱き合わせ販売などの“不公正な取引方法”が挙げられます。具体的には、大企業が下請企業に対し不当に安い単価を押し付けたり、返品リスクや在庫リスクを全て下請に負わせる形が優越的地位の濫用として指摘されるケースがあります。こうした行為が発覚すれば、公正取引委員会から排除措置命令や課徴金納付命令を受けるリスクがあり、企業の社会的信用にも大きく影響します。公取委は近年、ITプラットフォーマーやデジタル分野の下請取引にも厳しい目を向けているため、一層のコンプライアンスが求められています。

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企業が共同開発や商談で機密情報を共有する際、秘密保持契約(NDA)を結ぶのが一般的です。このNDAには、開示する情報の範囲や管理方法、第三者への再開示禁止、契約期間満了後の取り扱いなどが定められています。違反があった場合は損害賠償請求や差止請求が行えるよう、ペナルティ条項を盛り込む場合もあります。しかし、実際のトラブルでは、機密情報の定義が曖昧なために「この情報はNDA対象外だ」と主張されたり、証拠不足で損害立証が難しいといった問題が起こりがちです。契約書で機密情報を具体的に列挙するか、あるいは「開示時に秘密であると明示された情報」と定義するなど、できる限り明確な運用ルールを設定することが欠かせません。特にITや技術分野では、ノウハウや知的財産を守るためにNDAが機能しないと取り返しのつかない被害に繋がる可能性があります。

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上場企業が株主優待制度を導入すると個人投資家を中心に株主数が増えやすいですが、同時に制度の継続コストや公平性の問題があり、廃止や条件変更を行う場合には株主とのトラブルが生じることがあります。会社法上、株主優待は利益供与の一種ではないかという議論もありますが、一般的には株主平等原則に反しない範囲で配布条件を定めていれば違法とはなりません。ただし、優待の条件が特定の株主を優遇するように見えると、株主総会で議論を呼ぶことがあるので慎重な設計が必要です。特に廃止や基準変更を急に発表すると株価が急落し、株主から批判が集中する事例もあるので、企業としては根拠や目的を明確に示すとともに、段階的に変更を実施するなどコミュニケーションを重視することが大切です。

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