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弁護士への質問 見つかりました 29
生命保険の受取人を配偶者から子供に変えたい場合など、契約途中で受取人変更が可能な商品が多いです。保険会社に所定の用紙を提出し、契約者・被保険者・受取人が誰になるか明確にする必要があります。ただし、保険法や相続税の規定では、保険金は受取人固有の財産とされるため、相続財産には含まれないのが原則です。しかし、契約者と被保険者、受取人の関係によっては相続税の課税対象になるケース(たとえば契約者=被保険者=父、受取人=子の場合など)があるため、税務面を慎重に確認すべきです。
企業が業務上のリスクを幅広く補償するために「ビジネス保険」や「事業総合保険」などの総合的なパッケージ商品を契約することがあります。これは火災や落雷による社屋・設備の損害、盗難、業務中の賠償事故、従業員の労災補償など複数のリスクをまとめて補償する仕組みです。個別に保険を契約するより保険料が割安になることが多いですが、実際には業種や事業形態によって補償対象外となるリスクも存在します。例えば製造業とITサービス業では必要な補償が異なるため、パッケージを選ぶ際は自社の危険要因を洗い出し、保険会社とカスタマイズ内容を詰めることが大切です。具体的にはPL保険(製造物責任賠償)や情報漏えい賠償などを追加するケースが多く見られます。
保険契約を結んだ後、一定期間内なら契約を解除できるクーリングオフ制度が導入されていますが、保険法改正や金融庁の規制強化により、勧誘時の説明不十分なケースを救済しやすい方向へ改正が進んでいます。保険募集人が契約者に対してクーリングオフ制度をきちんと説明しなかったり、契約日時を明確にしなかったりすると、通常より長い期間クーリングオフが認められる場合があります。また、一部の保険では医療保険やがん保険など短期で請求が発生しやすい商品での乱用を防ぐため一定の制限も設けられています。いずれにせよ契約者が不利益を被らないよう、クーリングオフ通知方法(書面や郵送など)と期限起算日が明確化されたことが特徴です。
ペット保険は、犬や猫などペットが病気やケガになった場合の治療費を一部補償する商品で、近年ペット医療費の高騰を背景に需要が伸びています。しかし人間の医療保険とは違って公的制度がないため、保険会社ごとに対象範囲や免責額、通院・入院の日数制限などが大きく異なります。さらにペットの高齢化や特定の犬種・猫種で罹患リスクの高い病気については保険料が上昇したり、加入時の告知義務が厳しくなる場合もあります。保険法の観点からも、動物を被保険利益とする特殊性があり、死亡保障を手厚く設定すると動物虐待と結びつくリスクがあるため、保険会社は注意深く商品設計を行っています。
企業の海外出張で従業員が会社契約の包括保険(包括海外旅行保険)に加入している一方、個人でクレジットカード付帯保険にも入っているなど、保険が重複するケースがあります。通常、医療費用や携行品損害などの補償は、重複しているからといって二重に受け取れるわけではありません。損害実費を超える金額は保険金として支払われない原則があり、保険金請求時に「重複している他の保険を告知する義務」が生じる場合も多いです。たとえば携行品が紛失した際、両方の保険会社に同額を請求するのは不当利得になるため、実質的には損害額内で按分したり、先に支払った保険会社が全額補償するなど調整されます。医療費の場合も費用実額が上限となります。
建設工事保険(工事保険)は、建築工事中に起こり得る事故(例えば台風や火災、盗難など)によって建物や資材に生じた損害を補償する保険で、工事期間限定の補償がメインとなります。一方、瑕疵担保保険は完成後の建物に隠れた欠陥(瑕疵)があった場合に補修費用などを支払うもので、住宅品質確保促進法(品確法)に基づき新築住宅で義務付けられている「住宅瑕疵担保責任保険」が代表例です。工事保険は工事中のリスクを請負業者などが負担するのに対し、瑕疵担保保険は完成後に施主(消費者)が不利にならないよう欠陥が発覚したときの修補費用をカバーします。両者は補償するタイミングとリスクが全く異なるため、建築会社や施主の立場で合わせて理解しておく必要があります。
海外旅行保険では、病気やケガで海外の医療機関を受診する際の治療費や入院費をカバーするのはもちろん、緊急搬送や通訳費用、家族が現地まで駆けつける際の渡航費を含む「救援者費用」も補償対象とするプランが多いです。海外では医療費が非常に高額になり得るうえ、言葉の壁や病院手配の難しさからトラブルが複雑化するケースがあります。救援者費用はこうした緊急時に家族や知人が現地に駆けつける交通費・宿泊費などを支払うための保障で、保険金額が高めに設定されることが一般的です。ただし、保険会社によって対象となる状況や金額上限が異なるため、留学や長期滞在を予定している場合などは十分にプランを比較することが望まれます。
近年、自転車事故による高額賠償事例が相次ぎ、一部の自治体や都道府県では自転車保険加入を義務付ける条例が制定されています。たとえば、子どもが自転車で歩行者に衝突して重大な後遺障害を負わせたケースでは数千万円の賠償判決が出るなど、予想外の負担が発生する可能性があります。自転車保険に加入していないと、こうしたリスクを個人で背負わなければならず、生活が破綻する恐れもあります。保険法的には、個人賠償責任保険に付帯する形で自転車事故もカバーできる商品も多く、既に火災保険や自動車保険の特約として含まれている場合もあるため、自分がどの範囲で補償を得られているかを事前に確認することが大切です。
保険法では保険金請求権に時効が定められており、通常は契約種類によって異なるものの、人身保険(生命保険・傷害保険等)は3年、損害保険の場合は2年とされることが多いです。仮にこの時効期間内に保険金を請求しなければ、保険会社からの支払いを法的に求めるのが難しくなる可能性があります。事故や病気が発生してから長期間が経過すると必要書類の準備や事実関係の確認が困難になるため、この制度が存在します。時効が完成した後に請求を行っても支払い義務は消滅してしまうため、請求できないリスクがある点に注意が必要です。