日本版インフラ輸出と海事法上の注意

海外で港湾建設・運営を受注する場合、相手国の海事法や港湾法令に従い、施設設計や安全基準、環境アセスメントなどをクリアする必要があります。国際海事機関(IMO)のSOLAS条約やMARPOL条約などが適用される港湾設備もあり、国際標準に合致させることが求められます。さらに、船舶の入港手続きや港湾使用料の設定には現地政府の認可が必要であり、運営権をどの範囲まで取得するかによって法的リスクが変わります。日本の海事法や港湾施設基準は直接適用されませんが、海外事業で日本側企業が主導して工事・運営するならば、日本国内で培った安全基準やノウハウを現地法令に合わせてアップデートする必要があります。国際入札や融資契約では違約時の仲裁地や準拠法の選択も重要な検討事項です。