便宜置籍(Flag of Convenience)は、船舶登録を行う際に税金や規制が緩やかな国(パナマ、リベリア、マーシャル諸島など)を選ぶことで、運航コストを下げる手法です。これらの国は船舶トン数税や所得税、法人税などの負担が軽減されるほか、船員配置基準が寛容なケースも多いため、船主はコスト削減や運用の柔軟性を得られます。しかし、便宜置籍国は管理監督体制が不十分な場合があり、国際的なPSC検査で重点的にチェックされるリスクがあります。さらに、船員労働条件が低い水準であるとの批判や、事故発生時に対応が遅れる可能性なども指摘されます。船主は旗国を選ぶにあたり、税制メリットと国際信用、保険条件や入港制限の有無など総合的に検討することが重要です。