船舶抵当権を設定する際の手続きと効力について

船舶抵当権は、まず公証人が作成する抵当権設定契約書を用意した上で、国土交通省管轄の船舶登録所で登記手続きを行います。登記が完了すると、抵当権者は船舶の売却などが行われた際、他の一般債権者に先んじて弁済を受ける優先権を得ます。ただし、乗員の未払賃金や海難救助報酬など「先取特権」がある債権は船舶抵当権よりも優先度が高いため、実行時に全額を取り立てられないリスクがあります。抵当権実行は裁判所の競売手続きなどを通じて行われるのが一般的で、その間は運航が制限されるなど実務的にも大きな影響が出るため、貸し手・借り手双方が契約前にしっかり合意しておくことが望ましいです。